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2008.04.11

02■ロドルフ・テプファーの何が新しかったのか【2】

(ここにあるのは旧ファイルです。このページの内容を踏まえた、新たなテキスト「まんが史の基礎問題」をアップしています。トップページからアクセスして下さい)


 先に述べた2つの特徴は、テプファー以後に登場した19世紀のまんが作品の多くにも受け継がれている。テプファーのスタイルをそのまま真似たり、作品をリメイクしたりした後継者たちはもちろんのことだが、たとえばまだ若者だったロートレック(正確にはトゥールーズ=ロートレック)が1881年に描いたまんがにも、その典型的なスタイルを見ることができる。そこに見られるのは、ラフなタッチで絵を描き、それを区切ってさらに絵を描き、また区切っていった作業の軌跡だ。コマ配置のバランスの悪さが、その「なりゆき次第」の描き方を感じさせてくれる。テプファーの始めたこのスタイルは、たしかに新しい何かを確立し、後世の人間に大きな影響を残している。
 ならば、具体的にテプファーの表現の何が新しかったのか。テプファー以前に、コマ割りまんがは存在しなかったのか。もしテプファーの表現に新しさがあるとしたら、それ以前の表現とどのように違ったのか。そのことが明らかにならなければならない。

 複数のコマの絵を併置した表現や、それらを通じて物語の展開を描く表現は、昔から世界のさまざまな場所で、数多く行なわれてきた。
 「枠によって囲まれたブロック状の絵が複数併置された表現」ということでいうならば、古代ギリシャの美術表現などにすでに見ることができる。そのような形式に、さらに文字が加わった表現は、15世紀以降にヨーロッパで出版された本を見ると数多く確認でき、聖書や物語などの文脈に従って、絵と文字の組み合わせが連続的に表現された、さまざまな作品が存在する。日本でも、江戸時代の浮世絵にはコマ表現を用いた作品が見られる。
 それらを先駆的な「コマ割りまんが」と呼ぶべきだろうか。
 それは判断する人次第だ。そもそも「まんが」とは何なのか。その定義によって、まんがの「起源」はさまざまに変化する。まんがの歴史を考えること、特に初期のまんがの歴史を考えることは、そのまま、「そもそもまんがとは何なのか」と問うことにほかならない。
 テプファーの表現に注目するということも、そのような意味で、「まんがとは何か」を考える行為だ。もちろん、「まんが」の定義を確定しようというのではない。「まんがとは何か」という思考を手がかりにして、歴史を掘り起こすことが、何よりも重要なのだ。
 テププァーの表現を検討していくために、まずは、テプファー以前の表現を検討してみる。

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