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2008.09.19

【追記】Töpfferのカタカナ表記について

(ここにあるのは旧ファイルです。このページの内容を踏まえた、新たなテキスト「まんが史の基礎問題」をアップしています。トップページからアクセスして下さい)


 「Rodolphe Töpffer」をどのようにカタカナ表記するかは、やっかいな問題だ。
 ここではTöpfferをずっと「テプファー」と表記してきた。ウムラウトのある表記はドイツ系なので、現代ドイツ語のカタカナ表記にすると「テプファー」とするのが一般的だからだ。古い表記法であれば「テプフェル」となる。
 ただし彼自身はフランス語圏に住んでおり、作品もすべてフランス語で書かれている。先祖はドイツ系であっても、本人の母語がフランス語であることを考えると、これをフランス語風に発音する方が妥当であると考えられる。
 この文字をあえてフランス語として読むと、「ö」は「oe」で代用可能なので「Rodolphe Toepffer」となり、ロドルフ・トゥプフェールとするのが一般的だろう。トップフェールやテップフェールと表記することできる。
 もちろん、ドイツ語にしろフランス語にしろ、発音をカタカナで正確に再現するのは無理だから、いずれにしろ慣用的な表記にならざるをえない。日本では、テプファー、テプフェル、テプフェール、テップフェールなどの表記が散見される。この中では、発音からすると「テップフェール」が最も原音に近いのかもしれない。
 日本で出版された「アルプス徒歩紀行」(図書出版社)では「ルドルフ・テプフェル」という表記が採用されている。ただし訳者のあとがきでは「ロドルフ・テプフェル」と記されており、こちらが訳者の本来の意図であると思われる。
 では、どれを採用すべきか。同様の悩みはすでに昔漫棚通信さんでも問題にされていて、とりあえずは「テプフェル」が採用されている。唯一の邦訳「アルプス徒歩紀行」でこの表記が採用されている上に、古いドイツ語発音とフランス語発音の折衷案のようでもあり、ここまで混乱している現状の中では、それなりに座りがいいのかもしれない。
 とはいえ、フランス語のカタカナ表記としては、末尾の「er」は「ール」が一般的に使われていることを考えれば、「テプフェル」を採用するよりは「テプフェール」とした方が、フランス文化色が濃くなって、この作家の特色をはっきり伝えられるようにも思われる。

 というわけで、私は以後「テプフェール」を用いることにします。(ただし、ここの文章は「テプファー」のまま、直さずに置いておきます)
 近々、こことは別の形で「テプフェール」の紹介活動をしたいと思っています。

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