【追記2】訂正など
(ここにあるのは旧ファイルです。このページの内容を踏まえた、新たなテキスト「まんが史の基礎問題」をアップしています。トップページからアクセスして下さい)
今でもこのサイトを参照して下さる方がおられるようなので、誤りの訂正だけ、さらに追記しておく。
「01■ロドルフ・テプファーの何が新しかったのか」の、コマの囲み線についての以下の記述には、一部誤解が含まれている。
この作品の改作版も含め、後に出版された多くの作品では、絵がすっかり枠線によって囲まれるようになるが、たびたび古いスタイルにも戻り、枠線が閉じられずに、開いたままになるものも見られる。
「たびたび古いスタイルにも戻り」というのは、具体的には「M.クリプトガム」のことを指している。現在流通している版では、この作品はページによって囲みが閉じていたり、開いていたりするからだ。しかしその後調査を進めた結果、これはこの作品固有の特殊な事情によるものであり、テプフェールの意図を反映した結果ではないと思われる。
「M.クリプトガム」は当初、テプフェールが描いた肉筆版(1844年)をもとに、他人が木版に起こして発表された。テプフェールは、自筆版の刊行も企画し、1845年に印刷用に原稿を最初から描き直し始めていたが、10数枚を描き終えたところで病気のため中断し、そのまま亡くなってしまった。
現在流通しているのは、この1845年の「印刷用の清書」10数枚に、1844年の肉筆版を組み合わせたものと思われる。そのため、清書部分はコマが囲みになっているが、古い肉筆版では囲みになっていないのだと考えられる。
よって、テプフェールのコマの囲み線については、以下のようにシンプルに考えるべきだろう。「印刷用の原稿では、コマを囲みに整えているが、それ以外の肉筆稿では原則として囲みにしていない」
このサイトの文章は、もともと自分の考えを整理するために、手さぐりしながら書いていったもので、細かい部分ではかなりラフな書きとばし方をしていたり、煮詰め方が足りなかったりする部分がある。一息で走りきって、いったん終えるつもりだったので、期間限定と記した。お読みになる方は、そのような「ノート」であることをご了解いただきたい。
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